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うつ病などの精神障害に関する労災認定の新基準について

 ◆迅速な審査の必要性
近年、精神障害による労災請求件数が増加し、各事案の審査に平均約8.6カ月を要していたことから、迅速な審査を行う必要性が指摘されていました。
(厚生労働省では、平成22年10月から「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」を開催し、昨年12月に「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」を発表しました。

◆新しい認定基準のポイントは?

この新しい認定基準のポイントは、次の通りです。
(1)わかりやすい心理的負荷評価表(ストレスの強度の評価表)を定めた。
(2)いじめやセクハラのように出来事が繰り返されるものについては、その開始時からのすべての行為を対象として心理的負荷を評価することにした。
(3)これまですべての事案について必要としていた精神科医の合議による判定を、判断が難しい事案のみに限定した。
厚生労働省では、今後はこの新しい基準に基づいて審査の迅速化を図り、精神障害の労災請求事案については「6カ月以内」の決定を目指すとしています。
また、わかりやすくなった新基準を周知することにより、業務によって精神障害を発病した人の認定の促進も図るとしています。
◆セクハラ事案について
なお、セクハラが原因で精神障害を発病したとして労災請求がなされた場合の心理的負荷の評価については、次の事項に留意するとしています。
(1)セクハラ被害者は、「勤務を継続したい」とか、「セクハラ行為者からのセクハラの被害をできるだけ軽くしたい」との心理などから、やむを得ず行為者に迎合するようなメール等を送ることや、行為者の誘いを受け入れることがあるが、これらの事実がセクハラを受けたことを単純に否定する理由にはならない。
(2)被害者は、被害を受けてからすぐに相談行動をとらないことがあるが、この事実が、心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはならない。
(3)被害者は、医療機関でもセクハラを受けたということをすぐに話せないこともあるが、初診時にセクハラの事実を申し立てていないことが、心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはならない。
(4)行為者が上司であり被害者が部下である場合、行為者が正規職員であり被害者が非正規労働者である場合等、行為者が雇用関係上被害者に対して優越的な立場にある事実は心理的負荷を強める要素となり得る。

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