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最近の労働関係の裁判例から

◆「期間満了を理由とする雇止め」をめぐる裁判例
京都市にある大学が、期間満了を理由として雇用契約を更新しなかったのは不当であるとして、元助手の女性が雇用の継続などを求めていた訴訟は、大学がこの女性を今年4月から新たに1年間雇用する(契約更新なし)との内容で、京都地裁で和解が行われました。(2011年12月22日)
この女性は、2007年4月から「契約期間3年」で勤務していましたが、2010年3月末に雇止めされました。採用時に「よほどの不祥事がなければ1回は契約更新される」との説明を受けていたことから、提訴していたものです。
女性は「教員の使い捨てに異議を申し立てたかった。非正規教員の問題は全国で広がっているが多くの教員は泣き寝入りしている」と話しており、大学側は「裁判の長期化は望ましくないと判断した」と話しているそうです。
◆「過労死」をめぐる裁判例
新聞社の記者だった男性が糖尿病の悪化により死亡したのは過労が原因だったとして、この男性の父親が労災と認定しなかった国の処分の取消しを求めていた訴訟(控訴審)で、東京高裁は、一審の東京地裁判決(請求棄却)を支持し、控訴を棄却しました。(2012年1月25日)
裁判長は、業務内容を「精神的・身体的に著しく負担が大きかった」と認定しましたが、ストレスと糖尿病悪化の関係は「医学的知見が定まっていない」とし、業務と死亡との因果関係を否定しました。
この男性は1984年に入社し、1997年6月に糖尿病の合併症が原因で死亡しました。直前の同年5月までの半年間の時間外労働は、月平均約134時間だったそうです。
◆「育休に伴う解雇」をめぐる裁判例
育児休業の取得を理由に解雇されたのは違法であるとして、埼玉土地家屋調査士会の元社員の女性が解雇無効の確認などを求めていた訴訟で、さいたま地裁は、同会が請求を認める「認諾」を表明して審理が終結しました。職場復帰と同会および同会会長が慰謝料165万円を女性に支払うことが決まったそうです。(2012年2月2日)
原告側の代理人弁護士は「泣き寝入りせずに闘った結果。より働きやすい職場になってもらいたい」と話しているそうです。
この女性は2005年8月に事務職として入社し、2009年9月に妊娠後、切迫流産の危険があったため数日間休みましたが、同年11月以降、同会役員らに退職を勧められました。2010年4月から産休と育休を取得し、2011年5月18日に復帰すると、そのまま解雇されていました。

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