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添乗員の派遣を受けている旅行会社は労働組合法上の「使用者」に該当するか?

◆旅行会社が派遣添乗員の団交申入れを拒否
旅行会社A社の派遣添乗員Bが、A社に対して労働時間管理(管理を行っていなかった)に関して団体交渉を申し入れたところ、A社側がこれを拒否したため、B側が「不当労働行為である」と主張して救済を求めていた事件について、昨年、中央労働委員会により、会社側の主張を棄却する判断が下されました(2012年11月29日)。

◆事件の概要
A社は旅行事業に関し、労働者派遣法に基づいて、派遣会社から添乗員Bの派遣を受けていましたが、Bが所属する労働組合本部および支部組合がA社側の労働時間管理等について団体交渉を申し入れたところ、A社側がこれを拒否したことについて、「不当労働行為である」として、救済を申し立てました。
初審(東京都労働委員会)では、団体交渉事項のうち、A社側が労働時間管理に関する議題に応じなかったことは不当労働行為に該当すると判断し、A社側に対して「誠実団交応諾」および「文書交付」を命じたところ、A社側は、これを不服として再審査を申し立てました。
そしてこの度、会社側の再審査の申立ては棄却されたのです。

◆「形式」ではなく「実態」をみて判断
再審査の申立てに対し、中央労働委員会は、「労働者派遣法第44条のみなし規定によって派遣事業主が責任を課せられている事項の措置を行っておらず、かつ労働時間を含む就業諸条件について雇用主と同視できる程度の支配力を有している」として、会社側を労働組合法第7条の「使用者」に当たるとの判断を下しました。
形式的には「派遣先」と「派遣労働者」の関係であっても、実態として「使用者」と「労働者」の関係にある場合にはそのように判断される場合もあるため、注意が必要です。

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