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ワタミ事件で注目される“懲罰的慰謝料”とは?

◆損害賠償請求額はどう算出する?
過労死・過労自殺の損害賠償請求訴訟では、(1)死亡による精神的苦痛に対する慰謝料、(2)死亡しなければ得られたはずの収入を填補する遺失利益、(3)葬儀費用等が請求内容となります。
このうち、(1)は交通事故裁判例の蓄積によって作成された、いわゆる裁判所基準により算出され、(2)は死亡労働者の基礎収入から生活費を差し引いた額に係数を掛け合わせて算出されます。
実際には他にも様々な事情を斟酌して算出されますが、あくまでも死亡による損害を回復するという考え方です。

◆過去の事件とワタミ事件の違いは?
過労死についての有名な労働判例である電通事件では、会社の支払額は約1億6,800万円(うち遅延損害金4,200万円)でしたが、今回のワタミ事件では会社は1億3,365万円を支払うこととなりました。
いずれも高額な賠償金支払義務を負った点は共通しますが、ワタミ事件の1億3,365万円は、上記(1)が相場で2,000~2,500万円のところ懲罰的慰謝料と合わせて4,000万円とされ、これに上記(2)7,559万円等を加えて算出されています。
この“懲罰的慰謝料”が認められた点が、過去の事件と大きく異なると言われています。

◆“懲罰的慰謝料”とは?
アメリカ等では、損害賠償金の目的には損害の回復のほかに違法行為の抑制もあるとして、生じた損害以上の賠償金を認めます。ファーストフード店で買ったコーヒーをこぼして火傷を負った客への賠償金約3億円の支払いが命じられた例もあります。
日本でも大型トレーラーの脱輪事故で1億円を懲罰的慰謝料として請求したケース等ありますが、これまで認められたものはありませんでした。

◆今後への影響は?
ワタミ事件で原告側代理人を務めた弁護士は、「今後、同様の事件を起こした企業には、司法判断としても、社会的非難としても、厳しい判断が相次ぐだろう」とコメントしています。
労働基準行政でも、違法な長時間労働の是正勧告に従わない企業名の公表、送検といった取組みが強化されており、コンプライアンスの意識を持たない企業は淘汰されていくと考えるべきでしょう。

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