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喫煙は休憩にあらず、労災支給認める 大阪高裁が逆転判決 H21.8.25確定

【9月23日】
大阪市枚方市の居酒屋チェーン店長を務めていた男性(44)が長時間労働で心筋梗塞を発症したとして、労災保険法に基づく療養・障害補償を不支給とした北大阪労働基準監督署に処分取り消しを求めた控訴審判決で、大阪高裁が男性の請求を退けた1審大阪地裁判決を取り消し、男性の逆転勝訴していたことが23日、分かった。決め手は休憩時間の数え方で、渡辺安一裁判長は、1審の1日1時間ではなく15分だったと認定、「業務と発症に因果関係がある」と判断した。
判決は8月25日付。労基署側は、上告せず確定した。外食産業の店長は、”名ばかり管理職”として厳しい労働環境に置かれることが多く、企業側の昼休みなどの管理方法が問われそうだ。

1・2審判決によると、男性は平成12年10月、居酒屋チェーンの正社員に採用され、翌13年1月に枚方市内の店舗で店長となった。2月以降は、唯一の正社員として店を切り盛りしたが、3月に心筋梗塞を発症、入退院を繰り返し退職した。
1審は、男性が1日20~40本喫煙していたことなどから、休憩が1時間あったと推認し、発症直前1カ月間の時間外労働を月78時間と認定。脳・心臓疾患の労災認定基準である100時間を「相当下回る」として、業務と発症の員が関係を認めなかった。

これに対し2審は、飲食店という業種柄、従業員が一斉に休憩できないうえ、調理や接客など全般を任せられる要員も少なかったと指摘。1審で休憩とされた喫煙は、店舗内の更衣室兼倉庫でしており忙しければすぐ対応せねばならなかったことから、労働に含まれる「手待ち(待機)時間」とみなし、休憩は1日15分、時間外労働は月100時間だったと認定した。

その上で、業務と発症の因果関係を検討。直前1カ月は休日が2日しかなく、昼間の会議への出席やアルバイト人数の抑制を求められた為「疲労の蓄積はかなりあった」とし、労基署の処分を違法と判断した。
男性は現在も月1回の通院と投薬治療を余儀なくされており「裁判に勝てたのは嬉しいが、医者には健康体には一生戻らないと言われており、今も不安を抱えている」と話している。

(産経ニュース9月23日掲載)

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