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「最低賃金」と「定額残業代」

◆平均で14円の引上げに
最低賃金が引き上げられます。政府は今年10月頃に予定している平成25年度改定に合わせて、最低賃金の額の引上げ方針を固めました。
引上げ幅は全国平均で「14円」が目安とされています。現在の最低賃金(時給)は全国平均で749円ですので、763円への引上げになります。今後はこれを目安に都道府県ごとの最低賃金が決定されます。
賃金の引上げに向けて、政府は企業の内部留保が投資や賃金に回るような誘導策を導入する方針です。一方、負担の大きい中小企業に対しては、経営を過度に圧迫しない対応も慎重に検討していくとしています。

◆定額残業代と最低賃金、そして定額残業代自体の問題
パートやアルバイトの従業員がいない企業でも、最低賃金の引上げには要注意です。
月給制の場合でも、「定額残業代制度」をとっている企業においては、基本給+定額残業代等の手当の総額を時間単価に直した場合、その額が最低賃金を下回ると法違反となり罰金が科される可能性があります。
さすがにこの基準自体はクリアしていることが多いと思いますが、定額残業代にはまた別の問題点があるようです。
定額残業代の支払方法には、(1)手当として支払う方式、(2)基本給などに組み込んで支払う方式などがあります。ここ数年で日常茶飯事となった感のある未払残業代訴訟では、これらの支払方法によって、会社側の主張が認められにくくなる場合があります。
(1)については、就業規則や雇用契約書に定めがあれば、裁判でも定額残業代が認められやすい傾向にあります。しかし(2)については特に問題が多く、裁判で否定されることが多いようです。

◆これから定額残業代を導入する場合
新たに定額残業代制度を導入しようとする場合、その多くは労働条件の不利益変更に該当することになります。その場合は、書面による従業員との明確な合意が必要です。また、同意を得る前に、従業員に対する説明会や個別面談を行うなど、導入には周到な準備が必要です。
消費税引上げを見据えて最低賃金引上げの圧力は強いようですので、この機会に就業規則や雇用契約書などの書式類、残業管理方法の見直しについて準備しておきましょう。

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