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厚労省が未払い賃金立て替え拒否、違法勧誘の破産会社員らへ 大阪

【11月28日】
違法な勧誘で電話機のリース契約を結ばせたとして業務停止命令を受け、破産した訪問販売会社「メディアサポート」(大阪市)の役員と社員計12人について、厚生労働省は、破産会社に代わって支給する未払い賃金立替払制度を適用しないことを決めた。未払い分は総額約340万円で、「違法な営業を行っていた社員らを公金で救済するのはおかしい」という破産管財人の訴えを認めた。同制度の適用を見送った初のケースといい、悪徳商法に詳しい専門家は「これまで支払ってきたのが問題」と指摘している。
破産管財人の白出博之弁護士(大阪弁護士会)によると、営業マンらが「黒電話は近く使えなくなる」などと偽って高額な業務用電話機のリース契約を高齢者らと結んだなどとして、経済産業省は2006年7月、特定商取引法違反(不実告知など)で同社に3か月間の業務停止命令を出した。
同社は6日後、約30億円の負債を抱え、大阪地裁に破産を申請。被害にあった顧客は約430人を数えたが、回収された約3900万円は納税などが優先され、被害者には配当されなかった。
白出弁護士は、役員と違法勧誘を確認できた社員が立替払制度を受けられないよう、同制度の利用条件となる管財人の賃金未払い証明書を発行しないことにした。同制度には違法企業の社員であることを理由に支給を拒む規定はないが、白出弁護士は「不正な手段で営業した役員や社員を保護するのは問題」と主張し、厚労省も同制度の適用を見送ることを了承したという。
破産前、同社役員は基本給で月120万円以上、営業担当社員も数十万円を受け取っていた。白出弁護士は「『もらい得』は許せなかった」と話している。
市民団体「悪徳商法被害者対策委員会」(東京都)の堺次夫会長は「企業を渡り歩いて悪徳商法を繰り返す営業マンは多く、企業が破綻するたび未払い賃金を受け取れるとしたら制度の趣旨を逸脱している。今回の判断は市民常識にかなうものだ」と評価している。

(読売新聞11月24日掲載)

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