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10.152026
ストレスチェック、集団分析の結果を職場の改善に生かしていますか?

ストレスチェックの集団分析でよくあるミスと、職場の改善につなげる注意点
個人の結果と集団分析の違い、10人ルールと例外、総合健康リスクの読み方、2027年の規則改正と2028年の50人未満義務化までを整理します。
この記事のポイント
1 ストレスチェックは、部署ごとの集団分析の結果を職場の改善に使ってはじめて役に立ちます。
2 集計の単位は原則10人以上です。総合健康リスクは全国平均を100とした値で、120ならリスクが1.2倍とされています。
3 2028年4月1日から、労働者数50人未満の事業場でもストレスチェックの実施が義務になります。
この記事でわかること
ストレスチェックを毎年実施していても、結果を受け取って終わりになっている企業は少なくありません。ストレスチェックには、労働者一人ひとりが自分のストレスに気づく役割と、部署ごとの集団分析で職場の課題を見つける役割があります。この記事では後者に絞り、集団分析の結果を職場の改善につなげる進め方と、よくあるミスを整理します。
1個人の結果と集団分析の結果は別のもの
個人の結果と集団分析の結果は別のものです。個人の結果は本人に届き、本人の同意がなければ企業は見ることができません。集団分析の結果は、部署やチームごとに集計したもので、誰の回答かは分かりません。
集団分析は、企業が自分で行うのではなく、ストレスチェックの実施者(医師、保健師、一定の研修を修了した看護師・精神保健福祉士など)に集計・分析してもらいます。集団分析と、それをもとにした職場環境の改善は、いずれも努力義務です。
2仕事のストレス判定図と総合健康リスクの読み方
集団分析の結果は「仕事のストレス判定図」で見るのが一般的です。判定図は、次の4つの尺度で、部署の状態を全国平均と比べます。
✓仕事の量的負担
✓仕事のコントロール(仕事の進め方を自分で決められるか)
✓上司の支援
✓同僚の支援
2つの判定図から求める「総合健康リスク」は全国平均を100とした値で、厚生労働省の資料では、120であれば心理的ストレス反応や疾病休業などのリスクが1.2倍になるとされています。総合健康リスクは、仕事の量とコントロールの判定図の値と、上司・同僚の支援の判定図の値を掛け合わせ、100で割って求めます。
「総合健康リスクが120を超えたら問題がある」ではありません
厚生労働省の資料の書き方は「120であればリスクが1.2倍」です。数字は着手する順番を決める手がかりとして使い、背景は職場で話を聞いて確かめます。
3集計の単位は原則10人以上(2027年4月の規則改正)
集計の単位が10人を下回ると回答者を推測できてしまうため、原則として集団分析は行いません。少人数の部署は近い部署とまとめて10人以上の単位を作ります。
※仕事のストレス判定図を使う方法や、57項目の合計点の平均を求める方法など、個人が特定されない方法であれば、10人未満でも実施できるとされています。
2027年4月1日からは、労働安全衛生規則に、集団分析を「特定の個人を識別することができない方法で」行うことが明記されます。厚生労働省の通達は、これまでの解釈を明文化したもので「従来の運用に変更を加えるものではない」としています。
「集団分析も義務になった」は誤りです
集団分析と職場環境の改善は努力義務のままです。2027年の規則改正は、個人を特定しない方法で行うことを明記したものです。
4集団分析を職場の改善につなげる3つのステップ
ステップ1
結果を確認する
実施者から部署ごとの仕事のストレス判定図を受け取り、総合健康リスクが高い部署から着手します。たとえば営業部125、総務部95なら営業部からです。
ステップ2
背景を話し合う
数字の裏には人手不足や業務の偏りなど、責任者だけでは解決できない事情があることが多くあります。管理職や労働者の声を聞いて事情を探ります。結果は責める材料ではなく、改善のきっかけです。
ステップ3
小さく始めて、翌年の結果で確かめる
業務の偏りの見直し、上司と部下の定期面談、会議時間の短縮などから、1部署につき1〜2つに絞ると続けやすくなります。翌年のストレスチェックの集団分析で、同じ部署の数値を比べます。
結果は部署の管理職と衛生委員会などで共有し、共有の範囲は社内のルールとしてあらかじめ決めておくと運用が安定します。
550人未満の事業場も2028年4月1日から実施が義務に
2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、2028年4月1日から、いまは努力義務となっている労働者数50人未満の事業場でもストレスチェックの実施が義務になります。
人数は事業場ごとに、パート・アルバイトも含めて数えます
継続して使用しているパート・アルバイトも人数に含めます。企業全体ではなく事業場ごとに数えます。実施方法とあわせて、結果の生かし方まで準備しておくと安心です。
6よくある質問
Q1 集団分析は必ず行う必要がありますか。
努力義務です。ただし、ストレスチェックを職場の改善に生かすには欠かせない取組です。
Q2 企業は労働者の個人の結果を見られますか。
本人の同意がなければ見ることができません。
Q3 10人未満の部署はどうすればよいですか。
原則として近い部署とまとめて10人以上にします。仕事のストレス判定図を使う方法など、個人が特定されない方法なら10人未満でも実施できるとされています。
Q4 2027年4月の規則改正で、企業の対応は変わりますか。
変わりません。この改正は、「集団分析は、誰の回答か分からない形で行う」というこれまでの考え方を、労働安全衛生規則に書き加えたものです。厚生労働省の通達も「従来の運用に変更を加えるものではない」としています。なお、10人未満の部署をそのまま集計するなど、誰の回答か推測できる形で行った分析は、規則が求める集団分析を行ったことになりません。
Q5 総合健康リスクはどう計算しますか。
仕事の量とコントロールの判定図の値と、上司・同僚の支援の判定図の値を掛け合わせ、100で割って求めます。
Q6 どの部署から手を付ければよいですか。
総合健康リスクが高い部署からです。たとえば営業部125、総務部95なら営業部から着手します。
Q7 結果は誰と共有すればよいですか。
部署の管理職と衛生委員会などで共有し、共有の範囲は社内のルールとしてあらかじめ決めておくと運用が安定します。
Q8 どのような対策が考えられますか。
業務の偏りの見直し、上司と部下の定期面談、会議時間の短縮などです。1部署につき1〜2つに絞ると続けやすくなります。
Q9 効果はどう確かめますか。
翌年のストレスチェックの集団分析で、同じ部署の数値を比べます。
Q10 50人未満の事業場はいつから義務になりますか。
2028年4月1日からストレスチェックの実施が義務になります。
Q11 50人未満の事業場も集団分析を行うべきですか。
集団分析と職場環境の改善は努力義務です。2028年4月の義務化に向けて、実施方法とあわせて結果の生かし方まで準備しておくと安心です。
参考
厚生労働省リーフレット「ストレスチェックの集団分析に関する労働安全衛生規則が改正されました」
厚生労働省「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて」
※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。
この記事の監修者
渡邉知佳子
社会保険労務士・健康経営アドバイザー
集団分析の結果の読み方から、ご相談いただけます
「仕事のストレス判定図を受け取ったが、どこから手を付ければよいか分からない」
「少人数の部署が多く、集計の単位をどう組めばよいか迷っている」
このような段階でのご相談でも問題ございません。
あすか社会保険労務士法人では、集団分析の結果の確認から、部署ごとの職場の改善策のご提案、2028年4月の義務化に向けた実施体制づくりまで、企業様の状況に合わせてサポートいたします。
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